大変ご無沙汰しておりました。ベルギーのガイドの藁谷です。時は 9 月になり、ベルギーはすっかり秋めいてきました。気温も最高気温 20 度を下回る日々です。9 月 1 日から子供たちは学校も始まり、毎日元気に学校に通っております。私の仕事だけが。。。観光客が来ないので、仕事がありません。
私事ですが、7 月の下旬から 2 週間、南イタリアのシシリー島に旅行してきました。今年の夏休みは、ベルギー政府も「国内で楽しみましょう。」「自転車で旅に出ましょう。」などと呼びかけていたので我が家も国内でも良かったのですが、思い切って飛行機で遠くまで出かけてきました。政府の国外渡航マップではシシリー島は緑の安全地帯だったにもかかわらず、コロナ第 2 波の真っただ中で、私の住むアントワープは全市民に夜の門限まであったあの時期に、それもイタリアに行くの?馬鹿ですか?と言われんばかり… 実際、旅行の前は私も自分から出かけると人に言いたくなかったし、聞かれて「イタリアに行ってくる。」と答えると、相槌に困っている相手がほとんどでした。(ベルギー人でも、在ベルギーの日本人でも。)
空港や飛行機の中などは、かなりピリピリしていましたが、シシリー島につくとコロナとは別世界。リラックスしまくり。ゆるーい感じ。ピリピリ感ゼロ。建物に入るときや、公共の乗り物に乗る際、などはマスク着用・手の消毒が義務でしたが、旧市街や遺跡の敷地内を歩くときはマスクなしでも良かったので、観光は十分に楽しめました。シシリー島でも避暑地として有名なタオルミナの街は、今年の観光客数は例年の 5-10%くらいだと現地のガイドさんから聞きました。ですから、どこでも空いていましたよ。その代わりお店が閉まっているところが多かったですけど、遺跡の中も、レストランも、ビーチも。多少はお客さんがいたので、貸し切りではなかったですが。
私は以前にシシリー島に何度か行っているのですが、今回ほど楽しめたことはなかったです。もちろん、自分のプライベートの旅行で、一番気を使わなくていい旅の友・わが子二人と一緒だったということが一番の理由でしょうが、長い間家に引きこもっていた後だったというのも関係しているかもしれません。3 月半ばにロックダウンが始まり、ほとんど家から出ることができず、仕事もなくなり、子供も学校に行くことができなくなり、少しずつ解除が始まってからも皆で遠慮して、気を付けて、だからやっぱり活発には動けなくて。お友達とお茶したりランチしたりできる機会もほとんどなく、気晴らしと言えば家で映画やテレビを見るくらい。最初のうちは、「いつまででもロックダウンできそう。」なんて思っていましたが、今出てくる言葉は「辛かった。」の一言。見たい映画やテレビも尽きてしまい、自炊も毎日は疲れる。極めつけに、5 月半ばに一年も前から予約していた日本へのフライトがキャンセルになり、夏に実家に帰ることも不可能になり、私は完全に壊れました。仕方がないとわかっていても、日本に行けなくなったことで、しくしく泣く私を見て、どこかに行こうと言ってくれたのが家族でした。「イタリアのシシリー島は、安全そうだし、ママももう一度行ってもいいって言ってたじゃん。飛行機も飛んでるし、シシリーにしよう!」とすぐに決まり、今回 2 週間出かけてきたという次第です。
私自身、旅行業に関わって今年でちょうど 20 年。今回、旅行というものの必要性がやっと理解できた気がします。遠くで無くてもいいのです。たまにで良いので、自分の日常から離れる。その場所に行き、空気を肌で感じて、光を浴びて、匂いをかいで、味わって、一度くらいは嫌な気分になることもあるかもしれないけど、でもやっぱり旅は楽しいです。
『楽しい旅や人との触れ合いが、平和な世界へとつながっていくと信じています。』
私の旅行の話を聞いた知人がこんな素敵なコメントをくれました。私もそう信じています。 まだまだ家から出るのも簡単ではないけど、一日も早く自由に旅ができる日が来ますように。
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